やっと早朝の厳しい寒さも穏やかになりつつある某日、早朝より911を引っ張り出して一路湾岸経由で東名を目指します。
少し前の週末に「Porsche Center」でキッチリとメンテした足回りや、交換済の新品エンジンオイルによって極めてシャキっと調子の良さを感じるボディからの振動、音、感触を楽しみながらしばしのモーニングクルーズです。
到着したのはこの景色でおなじみ「富士スピードウェイ」。朝7時半に仲間たちと集合しゲートを通過しますが、目の前には快晴の空と真っ白な富士山。冷静に考えれば世界でも有数の絶景ポイントにあるサーキットですよね。ちょうど富士山上空を通過した航空機の飛行機雲が綺麗に平行に伸びていたのでより空の広さを強調した絵になってくれています。
・・・今日は所属する
「Ground Effect Racing」が午前、午後と各30分コースの占有を行っているのでチーム定例を兼ね富士スピードウェイで先日の
「Winter Racing Festival」の反省会というわけです。・・・なにせ占有ですからね、自由度高いし台数いないに等しいし(笑)ということで仕事をほっぽりだしてド平日の朝から集合しております。
やや肌寒い天候ではありますが、朝一からの走行へ向けパドックに車を止めたら早速準備開始です。一応ゼッケンがあるらしく、私は「3.8L」っちゅーことで「38」を選択してみました(めっちゃ後付けなんですが、この数字w)。
トルクレンチを使い規定値の130Nmで「カチッ、カチッ」と増し締めしておきます。991シリーズはエンジンルームとか開けてもな〜にも触れませんので色々テーピングしておくっていう工程がないのがちょっと楽。
車内にGOPROや、走行タイム把握用のスマホホルダーを取り付けたりコースインに向けて着々と準備が進みます。前のM3時代はHKS製の「Circuit Time Attacker」が装着されていましたが(ついてるだけでほとんど使わなかったけど・・・)、時代は進んだもので今日は「デジスパイス」さんが無料で提供している「Digispice Circuit Timer」を使用します。
本当の朝一には富士スピードウェイのライセンサーが走れる走行枠が運用されており、この日は最速枠でしたので、なんとも迫力ある車群がメインストレートを駆け抜けて行きます。有名どころでは「The Check Shop」さんの有名な997 GT3なども来てましたねぇ。GT3系列はCup Carまでよりどりみどり見れちゃうので目の保養、耳の保養になるってもんです。
我々GERのメンツは私の「991 Carrera S」を含め「Ferrari F360 Modena」「iDing F365」「Porsche 981 Cayman S」「Nissan R35 GT-R」「R34 GT-R」「Honda S2000」を中心に、その他86やインプレッサなどが集っています。枠の購入を共同ということでお誘いいただいた「iDing Power」の方々のピットには「Carrera GT」もいたり、S4走行枠の方々含めなんか視界に入る車たちがめっちゃマッチョです(汗)。
かくいうワタクシ、イベント運営などでFSWにはとってもしょっちゅういるイメージですが、レーシングスピードで本コースを走行するのは何気に今回で「2回目(それだけか・・・)」、しかも前回走ったのは9年前ってことで事実上「FSW初心者じゃん!」っていう状況なんですよねぇ。
ショートコースやジムカーナ、レーシングカートはちょいちょいやってたりするんですが、結構走ってるのが「ストリートなのね・・・」と改めて考えたら突きつけられた事実。ちゃんと今日走れるのか不安ざます(汗)。
とはいえ!せっかくのFSW本コース。
がっつり全開でいかないと勿体ないので、今日は気合を入れていきますよっ!
な〜んてコースインした一週目。
まだ完熟なのでとってもちんたらヘアピンに進入したら低い路温と温まってないタイヤ表面(そして後で考えれば高すぎる内圧)により、ズルルルルルーっとドリフト状態へ(笑)。
あかんがな。
といいつつも、今日は991の限界付近の挙動を知るのが大きな目的だったのでこういう動き大歓迎です。滑り出しも収束も相当緩やかで分かりやすいというのは、大収穫。RRのヤバい動きを991ってのは相当消し込めているんでしょうねぇ。
「Sport Plus」モードを選択することで、クルマのマネジメントがサーキットモードに切り替わるため「PDK」のシフティングが半端なく高速かつハードになりますよね。「Sport」ではまだまだマナーが良い「PDK」も「Sport Plus」ではいわゆるクラッチ蹴ってるぞ!的な勢いで、変速時に「ガツッ!」っていうショックがもろ室内へ入ってきます。もちろん、磁性流体を活用しているエンジンマウントも最もハードに締め上がりますのでそういった衝撃、振動は普段のCarrera Sとは全然違うレーシーなものになっています。
「Sport Plus」により通常時より200rpm程引き上げられ7800rpmまで活用できるエンジンを最大限回しこんで富士のホームストレートを加速すれば素のCarrera Sでもエンドは260km/hを超えてきます。そこからフルブレーキをして・・・
モデナー!どこへ行くっ!(笑)
って俺もオーバーシュートしてゆくモデナを眺めてたら一緒にオーバーシュートしかかってますけど(笑)。朝一一発目のブレーキングはちゃんとマージン取りましょう。
Photo by Tatsunori Iwamoto
で、爽快過ぎる午前の走行を終え、写真を撮ってくれた岩本氏と話しながら画面を見てみると・・・。
うわ〜・・・めっちゃ車高たけェ・・・(鬱)。
全開加速中で少しフロントが浮いているのを差し引いても、サーキット映えしない車高だなぁ。足は動くからあんまりいじりたくないけど、ちょっと気になるってもんです。これはエアロ含めて課題の一つとして明確に認識しました。
ただ、車内では吸い付くように加速してゆくので腰高感はゼロ。200km/hを超えてもフロントの接地感はバッチリあり、よく言われる超高速域のポルシェは怖いってのは991にはあまりハマらないですね。もちろんエンドの260km/h位の領域でも室内は平和そのものです。
そのまま親の仇の様にブレーキペダルを踏みつけても、フロントがクイッっとダイブして4輪が沈み込む様にブレーキング姿勢になるので恐怖感ゼロ。フロントの6Pod、リアの4Podのブレーキがそぎ落とす様に車速をみるみる殺してくれるので、途中はABS任せでグググググーっと止めたらそのまま接地感が高くなっているフロントを切り込めば終了です。
とわいえ、9年ぶり2回目の富士スピードウェイ。無理しすぎてイン巻きドッカンとか勘弁してほしいので、ちょいちょいおっかなびっくり踏んでたら猛烈に課題として「攻め方と限界領域が見えなかった」のがこの写真に代表される「コカ・コーラコーナー」と続く「100R」。この区間だけは自分でも「遅いわこれ」と思っていました。今後の研究課題の一つですね。特にうちの車は「PTV Plus」も「PDCC」も付いているので、その辺使いこなしてもっと高い限界領域を引き出せるはずなんで、ピヨピヨっすよ(笑)。
グランツーリスモ(笑)だと「つまらんなぁ」と思ってしまう後半セクションは実際に飛ばしてみると自分的には「相当面白い」と思ったセクション。その後半セクションの入口となる「ダンロップ」の進入はたぶん結構ポルシェらしい動きだった気がします。ここ好き。300Rからの5速全開な速度域から、ドカーン!と下りでも怖くないポルシェのブレーキバランスにお任せでハードブレーキングして一気にシケイン一つ目にノーズを突っ込んで行くのは爽快極まりないです。続く左の2つ目はまだちょっと遠慮してるというか、もっと踏んでいける気がします991のトラクションなら。
Photo by Tatsunori Iwamoto
総じて、午前午後の走行全てを楽しんで「Ground Effect Racing 占有走行」は終了です。
あー気持ちよかった。
M3の時はサーキット走ってここまで爽快な気分にはならなかったんですが、991で初めてのレーシングスピード。・・・車のキャパシティが圧倒的に違うのか、とにかく「俺余裕だから、お前もっと頑張れ」ってずーっとクルマに言われている感じが心地よく、感じたことがない一体感と爽快感を覚えた1日でした。
ブレーキタッチも走行時間後半となってもかなり信頼感のあるタッチが残っており、30分程度の走行では効きが甘くなるという経験はなかったなぁ(作動する深さの変動は多少ありましたが)。油温、水温も極めて安定しており(まぁ冬だしね)車両に関する不安感はゼロ。
タイヤはちょっとまだ内圧設定を高いままで走り過ぎた気がします。次回はもう0.3bar程度低くてもいいかもなぁ。この辺サーキットでの991の適正値など、走られている方とぜひ情報を交換させていただきたいところです。このタイヤの溶け方でも、恐ろしい縦方向の入力をしたことが見て取れます。最大減速Gはオンボードセンサーでは1.3G程度だった印象です。個人的な印象として履いている「P-ZERO」は、タイヤ表面温度が低いときは「結構喰わないタイヤ」で、表面温度が適正値及び高温になると「打って変わってコントロールしやすいタイヤ」になる印象です。・・・まぁ、雨の日とか冬は気を付けましょう的なね。
先日も雨の日に交差点でUターンしたら、たいした加速もしてないのにグワ〜っとおしり出ましたらね、P-ZEROどうなんすかね?でもサーキットでは好きなグリップの出方をするタイヤに変わるんだよなぁ・・・。
ブレーキはOK。だけど純正のフルードは「Dot4」なんで全然ダメ〜。新品に変えてきたけど、この日でもうフカフカ。沸騰しちゃいましたね。これだけは純正やめて変えちゃおう、弱すぎる。
サーキットへ来るとスポエギは「おとなしい音」だよね。ウイングの作動角は近いうちに「スポーツシャシー」装着車の角度まで作動する様にコーディングしたいと思います。・・・最近のクルマはマネジメントが優秀なんでそうそう簡単に火とか吹きませんが、個人的にはボッ!ボッ!と火を吹きながら走るのが「それ系のクルマ」だと思っているので、スポエギの演出にそういうのも付けといて欲しかったなぁ・・・。
室内って意味では、やっぱ純正のシートだと富士スピードウェイレベルまで持ってきちゃうと役不足だよなぁ・・・と。普段の用途を考えるとフルバケって感じじゃないまでも、ハードシェルのセミバケは欲しいところ。実はPDKに乗り換えたタイミングで左足ブレーキにしているので、体をシートで支えて欲しいなぁ・・・と切に思うわけです。
因みに一緒に走った友人のR35は吊るしの状態で1分53秒とかだったので、うまいやつは恐ろしいな・・・と(汗)。おいらもコカ・コーラ、100R、ネッツあたりでちょいちょい詰めることで59秒には入れておきたいものです。たまにしか走らないけどまぁ、ガンバロ・・・。あ・・・書くの忘れてた、唯一991で気に入らないのは「PDK」のギア比ですかね。7速が「燃費ギア」なんで最高速は6速で出るんですが、故にロングなんですよね。これはGT3みたいに7速で最高速設定のクロスで出して欲しかったなぁ。PDKだと「ファイナル変えればいいじゃん!」みたいな解決策がないので、そこだけフラストレーション溜まります。これがクロスだったらストレートもう少し到達速度が変わるんだけどなぁ。
事故、故障なく全員が帰り支度をし、無事帰還です。チームとして凄まじく少ない台数で貸し切るという贅沢な1日を大満足で終えることができました。こういう領域で走らせてまた一歩991と近くなれたのが嬉しい限りです。正しく動かせば本当に忠実に美しい弧を描くクルマだと思うので、もっともっと乗りこなして行くのが楽しみですね。
楽しかった1日を近所のパーキングで思い出しながらの一服です。
サーキット走りまくりの方からすると、ぬるい走りしてんなぁ的な感想もあるかもしれませんが、まぁ色々教えてください(笑)。少なくともわたし個人は本日結構満足(タイム以外は)しました〜。
暖かくなってきたし、ツーリングでも行こうっと。
ではまた!